大地震が発生したとき、家から避難するのは困難をともなう
もしも、震度6を超えるような大地震が発生した場合、どう対処するべきでしょうか?
まずは身の安全を確保することが第一です。
揺れている間は、落下してくるものや倒れてくるものでケガをしないようにして耐えしのぎましょう。
ようやく揺れがおさまったとしても、それで安心できるかというと実はそうではありません。
さらに余震が発生する可能性が高く、また、火災や津波、土砂崩れなどの二次災害の発生も考えられます。
「揺れがおさまったからもう安全」とは全く言えないのです。
ひとまず身の安全が確保できたら、次に、家の外に避難することを考えましょう。
さて、ここで問題となるのは、
そもそも、家の外に出られるのか?
ということです。
そのくらいのことはできるだろう、と思われるかもしれませんが、
実は、大地震が発生したときには「家の外に出る」というごく当たり前のことが困難になります。
これは、平成28年の熊本地震が発生したときの室内の様子です。
出典:東京消防庁
大きな揺れが起こると、室内の様子は一変します。
倒れた家具や散乱した物で床が埋め尽くされ、進路がふさがれています。
もしも、夜に地震が発生してこんな状態になったとしたらどうでしょうか?
それに加え、停電になって完全に真っ暗な状態になったとしたら??
本当に家の外に出られるでしょうか?
家から避難できるかシミュレーションしてみる
大地震が起きたとき、はたしてあなたが家から出られるのか、
また、避難するときにどんなことが障害になりうるのか、
それを検証するために、実際に家の中を歩いてシミュレーションしてみましょう。
以下のシーンを想定して、
大地震が起こった時に家の中がどんな様子になるかイメージしつつ、行動してみてください。
<想定シーン>
あなたは寝室で寝ています。
真夜中に大地震が発生!
ほとんどの家具は倒れ、床には割れたガラスや陶器が散乱します。
さらに停電も発生し、全く明かりがない状態になりました。
地震の揺れが一旦おさまったとして、あなたは、以下の行動をとってみてください。
- 家族やペットの安全を確認する
- ドアや窓を開けておき、脱出経路を確保する(揺れによってドアや窓の枠が歪んで開かなくなることがあるため)
- ガスの元栓を閉める
- ブレーカーを落とす(停電の回復時に通電火災がおこることを防ぐため)
- 家の外に避難する
このシミュレーションを通して、どういったことが行動の妨げになるのか、どんな用意をしておけばスムーズに動けるのか、考えてみましょう。
その際に、
- 家具がどこに倒れそうか
- どのあたりにガラスの破片が散らばるか
- 高いところにある荷物がどのあたりに落ちてくるか
これらについても確認しておきましょう。
スムーズな避難を妨げる要因
ここで、避難行動を妨げる『主要な要因』と『その対策』について考えてみましょう。
要因:明かりが無い
地震が夜に発生し、さらに停電になってしまうと、完全に真っ暗な状態になってしまいます。
周りの状況を把握できないため、手探りで進むことになる上、
下手に動くと、ガラスを踏んだり物が倒れてきたりしてケガをする危険性があります。
対策:枕元に懐中電灯を用意しておく
スマホをライトの代わりとして使うこともできますが、やはり懐中電灯を用意しておくべきです。
寝室の、すぐ手が届く場所に置いておきましょう。
しかし、停電が起きて真っ暗な状態では、懐中電灯がどこにあるか見つけられず、手探りになる可能性があります。
そのため、懐中電灯に『蓄光シール』を貼っておくことをおすすめします。
そうしておけば、暗闇の中でもかすかに光るため、即座に見つけられます。
蓄光シールは100円ショップなどで購入できます。
対策:停電時に自動で点灯するライトを設置する
コンセントにさしておくと、停電時に自動で点灯してくれるライトがあります。
家の中の数か所にこのようなライトを設置しておくとだいぶ安全になるでしょう。
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要因:床に散らばったガラスや陶器の破片
ガラスや陶器の破片が床に散らばっている状況は非常に危険で、特に暗闇の中では、身動きが取れなくなってしまいます。
もしもガラスを踏んで足を怪我してしまうと、その後のすべての行動に支障が出てしまいます。
対策:枕元にスリッパなどの履物を用意しておく
スリッパなどの履物をはくだけでかなり行動しやすくなります。すぐに取り出せる場所に履物を用意しておきましょう。
なお、倒れた家具を乗り越えるようなときに、スリッパやサンダルではぬげてしまうことがあるため、ベストなのは靴を用意しておくことです。
要因:倒れた家具や散乱した物が行く手をふさぐ
家具が倒れることで、通り道がふさがれてしまうだけでなく、扉のガラス、中に入っていた陶器が割れて散乱します。
また、タンスの上など、高いところに置いていたものは、大きな地震のときにはほとんどが落下します。
対策:家具が倒れないよう対策する
そもそも、家具が倒れないようにしておけば、状況は大幅に改善します。
家具の固定するなどして、倒れないよう対策をしましょう。
また、ガラスが割れないようフィルムを貼ったり、食器が戸棚から飛び出してこないようにする工夫も必要です。
対策:高いところに物を置かない
家具の上などの高い場所には物をできるだけ置かないようにしましょう。
特に、重い物、鋭利な物などは、落下してくると非常に危険です。
さまざまなシーンを想定して避難できるか検証する
上記のような問題を対策したら、スムーズに避難できるようになったかどうか、あらためて検証してみましょう。
さきほどの想定シーンは「寝室で寝ている状況」でしたが、
その他にも、
- 居間にいた場合
- キッチンにいた場合
- お風呂に入っていた場合
のように、さまざまな状況を想定して、安全に脱出できるか確かめてみましょう。
大地震が起こると、あまりの非日常的な状況に冷静さを失い、正しい判断ができなくなる恐れがあります。そして、それが生死を分けることもあるかもしれません。
どんな順序で何をすべきか、難しい判断をとっさにしなければなりません。
特に、家族の中にお年寄りや小さな子供、ペットがいる場合には、
「どのようにして家族全員の状況を確認し、安全に避難させるのか」
が大きな課題となります。
どう行動すべきか的確に判断して、全員をスムーズに避難させなければなりません。
あらかじめ最悪の状況を想定して、そのときにどう行動すべきかを考えてシミュレーションしておくことで、いざというときに適切な行動をとれるようにしておきましょう。
地震は防ぐことができません。我々にできるのは、地震に対して『備える』ことです。
地震が起こった後で、「あのとき〇〇しておけばよかった・・。」と後悔しても遅いのです。
備えを万全にしておきましょう。今できることからやっていきましょう。